2013年6月24日月曜日

マザコン国家はメシがうまい

前々回の投稿で、ヨーロッパと日本では子育てに対する根本的な姿勢が全然違うんじゃないかということを書きました。でもヨーロッパって一口に言ってもいろんな国があって、そこにはいろんな文化や宗教があるのです。民族だけでも社会の授業で習ったように主だったところでラテン系、ゲルマン系、スラブ系などがありますが、実際はそんな単純な物ではありません。これに加えて、アラブ系とかユダヤ系とか、さらに移民がいたりします。バルカン半島とかもう民族的には何がどうなってるのか訳が分からないです。宗教も基本はキリスト教なんですが、その中も教科書で習った範囲でもカトリック、プロテスタント、正教系など色々で、でも実はさらにもっと複雑です。

結果として前回の投稿の最後で触れたように、ヨーロッパでも漫画やアニメの文化に対する受容は国によってだいぶ異なります。フランスが一番の漫画/アニメ大国で、スペインでも同じく人気があります。日本のアニメが違法アップロードされている動画サイトを見ると、たいていポルトガル語かスペイン語の字幕がついています(また字幕の翻訳のクオリティがすごく高くていつも関心します。誰がやってるんだろ?)。
これらのヨーロッパでのアニメ受容国は、つまるところ南欧=ラテン=カトリックの国々なわけです。ヨーロッパの北の方の国で漫画やアニメが盛り上がってるという話は聞いたことが無いです。こういったヨーロッパ各国のアニメに対する受容の態度は、丁度「メシがうまい国」と「メシが不味い国」で大きく分かれるように思うのです。

マザコン男は買いであるという本には、本稿のタイトルにある通り「マザコン国家はメシがうまい」ということが書いてありました。曰く、日本や韓国、イタリアなどの美食の国々は国家として「マザコン体質」であり、対してアメリカやイギリスなどのメシの不味い国は父性原理が優勢な文化であると。マザコン国家では母親が子供のために手間ひまかけて手の込んだ料理を作るのでメシがうまくなるというようなことが書いてあったと思います(この本、家にあるはずなんだけど探しても見つからなかったのです。)。
これを読んだ当時はなるほどなと思った記憶があります。これは、ヨーロッパに限って言えば、プロテスタントとカトリックの違いというのは一つの大きな要素なんじゃないかと思います。カトリックの教会に行くと、イエスよりもマリアの方が前面に押し出されている印象を受けることが多いのです。一方、プロテスタントの教会はほぼイエス一点押しでマリアはあんまり出てこないように思うのです。僕は聖書も読んだこと無い上にプロテスタントとカトリックの違いについてちゃんと勉強したことも無いですが。カトリック=マザコンとプロテスタント=ファザコンという図式には、ちょっと教会を見たことがあるだけ程度の印象ですが直感的に納得できるところがあります。だってほら、マンマに毎日電話するイタリア人の男とかイメージに浮かぶけど、そんなことするイギリス人ってイメージできないでしょ?

実際のところ南欧のラテン国家(たいていカトリックです)は概してヨーロッパでもメシがうまい国(アイルランドやオーストリアまで含めると話がややこしくなって「カトリック=マザコン=メシがうまい」という説明にもたぶん限界があるのでとりあえず"ラテン"という縛りを都合よく採用しています。)だったと思います。思い出してもヨダレが出ます。で、これとアニメとどう結びつくんだ?と言われたら、あんまりパリっとした答えが実は思い浮かばないんですが。ヨーロッパでも南のマザコン国家は北のファザコン国家に比べたらまだ「子供らしさ」への許容度が高いんじゃないかと思うのです。
前々回で触れたように、ヨーロッパは子供が子供らしく好き勝手に振舞うことを許さない、日本人の目から見ると「子供嫌い」と受け取れるような社会なのですが。(ここからは知らない世界のことは言えないのでとりあえずスペインに限定しますが、)でも彼らだって何から何まで子供の子供らしい振る舞いを否定しているわけではないと思うのです。「大人=人間」の世界に迷惑かけるようなことさえしなければ、全体として見たら日本よりもスペインの方が子供は甘やかされてるとさえ僕は思います。例えば日本では「我慢=禁欲」を美徳として子供に教育しようとすることってあるでしょう?たぶんああいう物の考え方ってスペイン人には無いと思います。やりたくないことはやらなくてよい、好きな事だけやっててよいというのはスペインでは割と一般的なんじゃないかと思います。結果としてガウディやピカソみたいな天才が出て来やすい土壌なんじゃないかとは思います。
つまるところ日本もスペインも、「子供の子供らしさを否定しない=甘やかす」という観点から見るとどちらも同様に子供を甘やかして育てる=マザコン的なんじゃないかと僕は思うのです。もちろん甘やかし方も違えば、その背景にある考え方も全然違うんですけどね。で、この「子供らしさ」への許容度というのが、日本の漫画やアニメが受容されるかどうかに密接に関わってきてるように僕には思えるのです。で、最後行き着くのは「メシのうまいマザコン国家でだけ日本のアニメはウケる」ということになってるんじゃないかと。あ、とりあえずまとまったぞ。

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