2014年8月30日土曜日

なぜ日本人のグローバル化は外にしか向かわないのか

日本に在住歴5年近くなる外国人が、「そろそろ日本のクレジットカードを作りたい」と言い出しました。銀行の取引履歴があって信用がないとクレジットカードを作れないというのはどこの国でもある程度同じなんでしょうが、日本って僕が思ってたよりもはるかに外国人がクレジットカードを作るのが大変みたいです。
ともあれ、カード会社によって審査の通りやすさというのはいろいろ違っていて、日本在住外国人の間でもどこの会社が審査がユルいとかそういう情報交換はされているようなのですが。どうもそういうサイトからの情報によると、ユルめのカードの一つに「楽天カード」があるようなのです。
ところが英語公用語化とかいってイキってる割には、楽天のカード申し込みは日本語のフォームでしかできないのです。だから、英語で書かれた楽天カード申し込み攻略サイトみたいなのが存在するようなのです。

別に楽天カードだけじゃなくて、楽天の日本国内向けのサービスのほとんどはどうやら日本語でしか利用できないようなのです。これ、かなりおかしいと思いませんか?だって、社内の会話を英語にするとか言えるくらい英語ができる人ばっかりの会社なんだったら、日本在住の外国人や外国人旅行客向けに英語でも自社のビジネスを展開すればもっと利益が得られそうじゃないですか。
もっと言うと、これって別に楽天だけに限った問題じゃないと思うのです。日本人の考える"グローバル化"はなぜか「海外に留学する」とか「海外の現地法人に赴任する」といった"外向き"な方向にしか向かわないのですよ。例えば日本にもっと外国人の労働者や留学生を受け入れるとか、日本在住の外国人のためのビジネスを充実させるとか、"内向き"なグローバル化っていうのも十分立派なグローバル化なんですけど、どうも日本人はそこにはほとんど関心が無いようなのです。

じゃぁ、日本を外国人に対してもった開かれた国にしていけばいいじゃないか?と思うのですが。いきなり否定から入りますが、とりあえず昨今の状況だとまず無理でしょう。だって、大多数の語学ができない日本人に痛みを強いる度胸なんて政治家にも企業経営者にも無いでしょうから。もし日本国内にもっと外国人を招いてグローバル化するとか、日本人全員がある程度英語を喋れるようになれとか言うと、ネトウヨとかヘイトスピーチなんていうことが今よりもっと増えるでしょう。
つまり、安倍晋三は日本のグローバル化とか言ってる一方で、安倍晋三を支持しているであろう、右寄りの日本人の大半はグローバル化なんていうのは他人事なわけです。やや脱線しますが、こういう安倍晋三と彼の支持者の不思議にねじれた関係って別にこの問題だけじゃないと思うのです。例えばアベノミクスで貧富の差が拡大する方向に誘導した結果、貧しい人たちは右傾化して安倍をむしろ積極的に支持しているのもその一例だと思います。

そして、楽天やユニクロなどのグローバル企業が目指しているのは、海外のグローバル企業が20世紀に通ったコースを周回遅れで追いかける事だと思うのです。外国に工場を作ったり、外国を市場として開拓したり…こう考えると、彼等グローバル企業が日本国内のサービスを外国人に利用しやすくすることに意識が向かないのも納得がいくかと思います。彼等の関心は最初から日本の外にしか向いていないのです。
みんながみんな外国語ができたりする必要は全く無いのですが、例えばコピー機のボタンに簡単な英語の説明をつけてあげるとか、そんな小さなことでも外国人には随分快適になったりするのですよ。ここまで述べたように、グローバル企業という彼等はどうやら日本で外国人が快適に過ごせるように自社の国内ビジネスを多言語に拡張する気はたぶん無いっぽいですが。外国人が日本で快適に暮らせるようにするためにクレジットカードとか銀行とか自動車保険とか、そういうサービスを外国語で行う会社が出てきても良いと思いますし、たぶん遅かれ早かれそうなっていくと期待したいです。

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