2013年8月13日火曜日

夏休みの憂鬱

開設当初に比べると更新頻度がだいぶ落ちてきましたが。細々ながら続けていくつもりです。

サラリーマンの僕はお盆休みです。帰国したのが昨年の8月末だったので、日本で夏休みというのを取るのは実は3年ぶりだったりします。で、3年ぶりの日本の夏休みですが…無いよりは勿論あったほうがうれしいんですよ。一週間も仕事がお休みなんて有り難い話だと思います。でもね。なんかあんまりうれしくないのです。。というのも、
・暑い : 北海道、東北、避暑地以外はわざわざ出かけたいという気になれないくらい暑い
・人が多い、混雑 : 一斉にお盆休みに入るのでどこ行っても人が一杯で交通機関はどこも混雑する
・高い : まぁ、そんな状況だから当然お盆時期の旅行は高いですよね。しかもマトモなところは予約がすぐ埋まるし。
・行きたいところが近場に無い : 旅行で行きたいのはヨーロッパかスペイン語の通じる国なんですが、どっちも遠いし高いのでわざわざ夏休みに行く気にならない
以上の理由により、日本の夏休みってあんまり楽しい気分になれないのです。かといって、丸一週間休みをもらっておきながらどこにも行かないというのもなんだか気が咎めるので、昨日まで2泊3日で近場の長野に行ってきました。これで今年の夏休みのお出かけは終了です。もう少し達観して「どこにも行かないけどそれでいいじゃん」くらい言えるといいんですけど、その境地にはまだ達することができません。

また例によってスペイン…の話なのですが。バカンス(夏休み)を2週間とか3週間とか取るのは本当の話です。不況で仕事が無いとか失業率50%とか言いつつも、バカンスはしっかり取ってる印象があります。夏休み明けに日焼けしていない白い肌だと「かわいそうに、仕事が忙しくてバカンスにいけなかったのね」と普通に言われるそうです。僕は言われたこと無いけど、在住日本人でも美白派(美白をやめて、スペイン人のようにガンガン焼く方向に向かう人もいます)の女性は夏休み明けにこの攻撃にさらされることがあると聞いたことがあります。
そして、たぶんスペインだけでなく、ヨーロッパ全体が同じような仕組みになっています。例えば、夏休みにフィンランドの人とスペインの人が互いの家を何週間か交換してバカンスを過ごす…なんていうことも普通にあるそうです。日本人の感覚からするとそんなに長い時間家の外にいるとお金がかかってしょうがないと思うかもしれませんが、長期滞在向けの別荘を借りたり、上述した家の交換なんかをして自炊して過ごせば、そんなにお金をかけなくてもバカンスは楽しめるそうです。

てなわけで、スペインに滞在中に二回ほど夏休みをスペインで取るチャンスがあったのですが。三週間も休みがあるからってスペイン人みたいに長いバカンスを取ったかというと…これができないのですよ。
スペインに在住できる期間は最初から決まっていたので、その間にヨーロッパのいろんなところに可能な限り行きたいとは勿論思ってました。でもだからと言って、例えばパリ→ベルギー→オランダ→デンマークみたいに数日ずつ滞在して観光するだけの旅行を続けると、移動が多くてお金がかかる上に毎日観光してるのでなんだか疲れる旅行になっちゃうのです。
さらに、いくらスペインに在住してたとはいえ、5日くらい家の外に居続けるとだんだん疲れてくるのです。在西当時も普段の生活では最低一日一食くらいは自炊した日本食を食べてたのですが。さすがに5日くらいの間自宅を離れてると日本食がすごく食べたくなるのです(大体旅行から帰ったら茶そばとアボカドの刺身による”緑一色御膳”を食べてました)。
じゃぁ、ヨーロッパの田舎のどこかに日本食材も持ち込んで数週間ゆっくり過ごす…というのもこれまたなかなか辛いのです。だって、「何もしないでいる」という能力が求められるからです。スペイン人(や多くの欧州人)のように安息日=日曜日はお店も閉まってて徹底的に何もしない文化で育ってると「何もしないでいるバカンス」というのも出来るのかもしれませんけど、僕には無理でした。
そもそも、そんなに長い休みをもらえた経験がこれまでに無いので、二週間もの間ずっと旅行するということを積極的にやろうと思えなかったのです。結果として、夏休みというのは3,4日で帰ってくる旅行を二つ(例えばスイスに3日、ギリシャに4日など)ほどするだけで、あとの時間は何していいのやらよく分からないまま過ごしてしまいました。

そんなにみんなが長い夏休みとって社会が回るのか?と思うかもしれませんが。確かに7-9月の夏休み時期は欧州の社会全体の生産効率が明らかにに落ちてます。でもこの時期は個人経営のお店も一ヶ月閉まってたりするのが普通で、夏休み時期に社会全体の効率が落ちることが当たり前なのです。不況なのに?と思うかもしれませんが、不況だからってがむしゃらに働こうとかそういう風にはどうやらスペイン人は考えないみたいです。むしろ仕事がすくないんだったらゆっくりバカンスを楽しもうとか、そんな風に考えるようです。僕の職場だったところはスペインの中でも特に極端で、8月の間3週間エアコンが止まる=実質職場に誰も来ないようになっています。昔はそんなことしなかったらしいんですが、経済危機以降はアレもコレもコストカットになって、結果として夏休みは3週間エアコンを止めることになったそうです。
夏休みをとるタイミングは日本みたいに一斉ではなく、交代で休みを取るのが一般的なんだそうです。だから日本みたいにお盆になるや否や猛烈な勢いで大移動をしたりすることもなく、何ヶ月も前から手配しないと観光地の宿が取れないというようなことは無いようです。そして、この時期は基本的に日本より寒いヨーロッパを旅行するのに丁度よい時期です。

最後に少々恨み言を申し上げると、日本の夏休みはせめて時期を前後にずらして取れるようにしてもらえないですかね?そうすればせめて「人が多い・高い」という問題だけでも緩和できると思うのです。お盆というのが重要な先祖供養の儀礼であることは勿論分かるので、それを大事にしたい人は今までどおりのお盆に休みをとればよいと思うのですが。すっかり核家族化が進んだ昨今では、お盆時期の休みじゃないといけない理由が無い人はずらして取れるような制度にせめてしてほしいと思うのです。僕はたとえ一日休みが少なくなるとしても一週間ずらして取りたいです。
当然、一斉にお盆休みを取る現行のシステムの方が会社には都合は良いんだとは思います。でも、欧州のように「交代で休む」ということができるのは、言い換えると「互いの不在をバックアップしてやりくりする」ということが可能なシステムなわけです。一つでも歯車が欠けるとシステム全体が機能不全に陥るとでも言わんばかりの日本式だと、働く側が歯車として常に100%機能し続ける事を求められます。
やや飛躍しますが、日本で育児と仕事の両立が難しい原因の一つってこういう「歯車として100%機能することを常に求められる」という労働風土なんじゃないかなと思うのですよ。もちろん夏休みを取る時期をフレキシブルにするだけで働く女性の育児との両立が解決できるとか、そんな簡単な問題だとは思っちゃいませんが。お互いの都合に可能な限り配慮して補い合えるような労働風土の確立が、こういう状況を少しでもマシにしていく一助にはなるのではないかと思うのです。

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